Appleの製造技術

いつか書こうと思っていましたが...これも機会ということで

有名な話ですが、アップルは2007年頃まで、開発・製造の一部を日本でやっていました。
僕の実家のある新潟県燕市で。
代表はiPod 5Gまでの鏡面加工ですかね。

ちょっと郷土自慢をしておきますと、燕市は"金属加工の街"として知られています。
(昔は小学校教科書に"洋食器の街"と載っていましたが...)
金属加工の内、洋食器などに用いられていた、表面加工技術が優れていたので、
iPodの鏡面加工が委託されていたのだと思います。
信じられないかもしれませんが、あれは一つ一つ、職人さんが手作業で磨きをしていたんですよ。
Appleは部品の加工精度に厳しく、納期に間に合わせる為に複数の会社で突貫で製造したことがあったのですが、半数が不良品として戻ってきたそうです。
現在は中国で鏡面加工が行われています。


燕市のもう一つの重要な仕事に筐体用の"型"作りがあります。
"型"とは、おもの電気製品の筐体をプレス製造するときに使うもので、
例えばデジカメの筐体(金属製)は"型"を元に製造されています。
お菓子の落雁を成形作るときに"型"を使いますよね。あれと同じように使うのです。
メーカーは、製品開発段階で型の試作を繰り返すのですが、
この型の試作はじつは非常に高いです。一つ作るのに、数千万〜数億円かかる場合があります。
型の精度が非常に厳しいので...
日本のメーカーの大半は燕市に型の作成を注文しています。

Appleもこの"型"制作を割と昔から燕市で行っており、
燕市のおじさん達はApple InsiderやThinksecret(もうないけど..)より新製品情報に詳しかったのです。
macbook proが発表になる半年くらい前に、
「アップルが今までとは見かけは同じだけど、中身が新しいノートブックを作っている」
という噂を聞いたりもしました。


で、AppleがUnibody(ユニボディ。codenameはBrick)を開発した理由はここにもあります。
Unibodyの製造は、前述した"型"を作成する必要のない製造技術です。
工作機械でNCというものがありまして、3D CADで作成したデータ通りに金属を削る機械があるのですが、
Unibodyはアルミの塊をNCで削って製造しています。

(ビデオ1:50辺りから加工が見れます)

普通、NCは"型"を作るために使う機械なのですが、Appleは製造そのままにつかってしまったのです。
これによる恩恵は、macbook pro(Unibody)がSDカードを搭載した時に見られました。
普通のメーカーは、入出力ポートが増える場合は"型"の試作から始めないとなのですが、
Unibody製造技術のおかげで、安く、しかも早く新しい筐体ができます。

2007年位に「アップルが100台単位でNCを購入している」という話を聞いていたのですが、
それは日本離れを意味していたわけです。
まあ、なんというかAppleは製造技術にさえも、革新を起こして製品を作っているんですよ、という話でした。

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